ノーインベストメント・ノーライフ


株ときどき雑記
ライブドアショックあたりから株式投資をスタートした個人投資家
紆余曲折を経て高配当銘柄投資にたどり着く
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    カテゴリ:本は読んどけ > 経済本

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    熱狂、恐慌、崩壊―金融恐慌の歴史熱狂、恐慌、崩壊―金融恐慌の歴史
    著者:チャールズ・P. キンドルバーガー
    販売元:日本経済新聞社
    発売日:2004-06
    おすすめ度:4.5
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    まずは、概略。

    第一章 金融危機-何度も蘇る多年草
    本書で扱うのは、金融危機を伴う景気循環で、金融危機を伴わないものは除外。

    第二章 典型的危機の解剖
    景気循環において、投資家が投機によって生成された値段に、より高い値段が付けられずに、大きな投売りが始まる。それにより、市場価値の急激な暴落が生じる。

    第三章 投機熱
    戦争、戦後、新しい市場、技術革新などが投機熱を引き起こす。また、金融システムの規制緩和・自由化などもそう。投資対象は、金、鉄道株、新興市場などさまざま。

    第四章 火に油-通貨膨張
    銀行の信用膨張がバブルを生み、銀行の信用収縮がバブル崩壊を生み出す。

    第五章 詐欺の登場
    バブルが発生すると、数多くの詐欺師があらわれる。

    第六章 決定的段階
    偶発的な出来事が危機を生じさせることもあるが、公的機関の危機を防ごうとする処置が逆に危機を促すこともある。

    第七章 国内の伝染
    国内で起きる、とある市場から、とある市場への熱狂と崩壊の伝染。

    ・オランダでの、証券市場とチューリップ市場(1636年)
    ・日本での、株式市場と不動産市場(1989年)

    第八章 国際的な伝染
    国から国への熱狂と崩壊の伝染。

    ・世界恐慌(1720年)
    ・アジア通貨危機(1997年)

    第九章 無為放任か介入か
    対応策の有無。まずは、仮証券の発行、債務保証、政府債の発行、預金保険など、おのおの危機にあった対応策を打つパターン。短期間で危機を収束させることが多い。

    次に、対応策を打たず、市場の合理性や自浄作用にまかせるパターン。危機が長期間に及ぶことが多い。

    第十〇章 最後の貸手
    最後の貸し手が危機を食い止めるために、市場を救うことは、市場の自立性を損なわせてしまう側面を持つ。それに、市場を救うタイミングによって、危機が長期化してしまう恐れがある。

    第一一章 国際的な最後の貸手
    今は、国際的な最後の貸手が存在する。なかった時は、国際的な危機に対して、イギリスやアメリカなどが対応していた。もし、これらの国が不調なときに、国際的な危機が勃発したとき、機能不全に陥るので、やはり、国際的な最後の貸手は必要。

    第十二章 結論-歴史の教訓
    国際的な危機に対して、国際的な最後の貸し手は存在する。だが、体制はまだまだ不十分で、更なる強化が待たれる。

    つぎに、気になったところ。

    特になし。

    最後に、まとめ。

    まとめ
    不景気には、二つのパターンがある。金融危機を伴うパターンと、伴わないパターン。これは、前者を扱った書物。

    ちなみに後者は、在庫投資の活動周期の「キチンサイクル(3年周期)」、設備投資の周期の「ジュグラーサイクル(10年周期)」、建築投資の周期の「クズネッツサイクル(20年周期)」、大発明の周期の「コンドラチェフサイクル(50年周期)」があり、景気循環を伴うもの。

    まあ、不景気について、理解が深まったから、読んだ価値あったかな。

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    世界スタグフレーション―アメリカ・ECの実態と日本の対応 (有斐閣選書 (415))
    著者:鬼塚 雄丞
    販売元:有斐閣
    (1982-05)
    販売元:Amazon.co.jp
    クチコミを見る

    まずは、概略から。

    第1章 世界スタグフレーション
    スタグフレーションの定義と特徴
    スタグフレーションとは、持続的物価上昇と失業率の増加とが同時に起こることをいう。

    フィリップス曲線に見る特徴
    フィリップス曲線で世界各国のスタグフレーションの状況を分析。
    *フィリップス曲線:経済学においてインフレーションと失業の関係を示したもの

    スタグフレーションの原因
    何らかの理由で、自国の民間部門(企業家計)が将来に対して強気となり、自発的に消費や投資を拡大したときに生じる。

    基軸通貨とインフレの国際的伝播
    固定相場制においては、インフレ国からインフレのない国へ、貨幣が移動して、インフレが調整される。それに対して、変動相場制においては、為替相場の変動により、インフレが調整される。

    持続的物価上昇の本質的原因
    持続的物価上昇の本質的原因は、完全雇用の実現と社会福祉の強化にある。

    アメリカのインフレーション
    アメリカのインフレは、デマンド・プル型インフレに近い。
    *デマンド・プル型インフレ:需要が増加して、価格上昇が起きるインフレ
    *コスト・プッシュ型インフレ:費用が増加して、価格上昇が起きるインフレ 

    第2章 アメリカのスタグフレーション
    アメリカ経済の活力低下
    アメリカ経済の活力低下は、投資活動の質量両方の低下にある。

    2レーガンの「経済再建計画」
    レーガンの「経済再建計画」は、大きな政府から小さな政府への移行がテーマ。

    サプライ・サイド・エコノミックス
    減税の効果は二つの側面があり、

    ・減税→可処分所得の増加→総需要の増加→企業の生産計画の上方修正→インフレ
    ・減税→労働意欲や投資意欲への刺激→供給能力の増加

    レーガンは後者を狙っている。

    投資回復のプログラム
    利子・配当収入やキャピタルゲインの税率を切り下げ、可処分所得を増やし、それを投資や貯蓄に促す。

    活力は回復するか
    この著書は、1982年に書かれたもので、この時点ではレーガンの政策の是非はハテナで、活力は回復するかどうか?でまとめられている。

    第3章 欧州のスタグフレーションの実態と対応
    欧州諸国のスタグフレーションの実態
    欧州のスタフグレーションの実態を、スタグフレーション指数やフィリップ曲線などで分析。

    フランスの事例
    パールプランは、インフレ抑制、対外均衡の回復、経済成長達成、雇用の安定が狙い。

    イギリスの事例
    サッチャーは、慢性的なインフレの抑制、経済に占める公共部門の役割を減少させること、民間企業部門の活性化を図ることが狙い。

    結びに変えて
    フランスの事例とイギリスの事例から、共通項を探り、それとともに問題点を提示している。

    第4章 国際金融取引の活発化と日本の金融市場
    石油危機後の世界の資金循環
    資金の出し手は産油国、取り手は非産油発展途上国。

    オイルマネーの運用状況
    オイルマネーの八割強が先進国に向かい、先進国市場を経由したあと、発展途上国に流れている。

    金融取引の国際化とわが国金融機構の変革
    金融の国際化は、企業に自由な資金調達手段と、金利・為替にもとづく最低取引の機会を与えた。

    第5章 国際資本移動とインフレーション
    国際資本移動の形態
    国際資本移動の形態には二種類あり、短期資本移動と長期資本移動、直接投資と証券投資。
    *直接投資:技術、ノウハウ、ブランドなどの資本移動を示す
    *証券投資:会社の直接支配を示す

    国際資本移動の理論
    短期資本移動の理論は、外国為替市場の理論で説明できるが、長期資本移動の理論は、まだ理論が確立されておらず説明できない。

    国際資本移動とインフレーション
    資本移動が活発な現在の世界経済では、変動為替レート制度による隔離効果は期待できない。また、外国のインフレ政策は、自国からの流出となる場合は、自国のインフレ圧力として、自国への流入となる場合は、自国のデフレ圧力となる。

    第6章 日本のスタグフレーション
    問題の所在
    スタグフレーションという定義が曖昧なため、使う人によって異なる。ひとつは、市場機構や賃金メカニズムなどの制度の硬直化、もうひとつは、インフレと失業率の悪化とが同時に起こること。日本は、前者の定義ではスタグフレーションに陥っていないが、後者の定義ではそれに陥っている。

    説得力に欠けるコスト・プッシュ説
    日本のインフレの要因には、OPECによる石油価格の大幅引き上げ、労働組合の価格支配力の増大による賃金の引き上げなど、諸説あるが、どれも説得力に欠ける。

    マネタリー・アプローチによる分析
    日本において、第一次オイルショックでは、マネー・サプライのコントロールにより、スタグフレーションを軽微に抑え、第二次オイルショックでは、マネー・サプライのコントロールにより、スタグフレーションを皆無に抑えた。

    マネー・サプライ重視への転換
    金融政策は、ほとんどの国で、物価安定策として使われ、指標としては、金利よりマネー・サプライが重視される。

    第7章 日本における経済政策の展開
    はじめに
    世界スタグフレーションと日本経済について。

    初期条件と政策環境
    第一次オイルショックは、ハイパーインフレの過程で起き、第二次オイルショックは、物価安定状況で起きた。 

    政策形成の過程
    第一次オイルショック時の首相は福田赴夫で、第二次オイルショック時の首相は大平正芳。前者は、安定成長、後者は、自然体の政策がテーマ。

    政策目的、手段、効果
    第一次オイルショックは、スタグフレーションからの脱却、第二次オイルショックは、スタグフレーションの回避がテーマ。

    日本経済はスタグフレーション・プルーフか?
    産業構造が若いこと、技術革新の機械にめぐまれたことなど、日本経済は先進国に比べて、スタグフレーションにかかりにくい構造をしていた。

    次に気になった箇所。

    資本主義と社会主義
    第一の要因は、第二次大戦後の資本主義経済においては、完全雇用の達成が政府の義務とされ、この目標のため、失業率がある目標水準がこえると拡大的財政・金融政策が発動される傾向が強かった。
    世界スタグフレーション―アメリカ・ECの実態と日本の対応より

    第二次大戦後を境目に、完全雇用を目指した、ロシアや中国などの社会主義ができ、完全雇用をあきらめ、適正な雇用水準を目指した、イギリスや米国などの資本主義が成立し、二分化したのだなと思った。

    福田親子
    福田首相の場合にあたっては、安定成長が年来の主張である。安定面については、「狂乱物価」「資源有限」の現実に直面して、緊縮政策志向に拍車がかかった。「全治三年」という見通しも、政策持続性を保証するのに役立った。これがインフレ・マインドを鎮圧し、後年の物価安定の土台をきずくことになる。
    世界スタグフレーション―アメリカ・ECの実態と日本の対応より

    親父高評価で、息子涙目。親子ともに、スタグフレーション状況下に就任、運命というものは皮肉なものだね。いやあ、このままだと息子はヤバイだろ(笑)。

    最後に、まとめ。

    まとめ
    スタグフレーションを理解するために、この本を読んだ。この時期は、世界経済がはじめて、スタグフレーションに直面しただけあって、市場機構や賃金メカニズムの制度の硬直化、インフレと失業率の悪化が並行して起こることなどと、人それぞれでその定義が曖昧だったようだ。

    また、この時期に起こったスタグフレーションについて、丁寧に書かれてあり、頭の整理にはなった。でも、フィリップス曲線で、π=f(u)+g(πe)とか、πe=β(π−πe)とかが出てきたのは、まじ冷や汗ものだった。

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