ノーインベストメント・ノーライフ


株ときどき雑記
ライブドアショックあたりから株式投資をスタートした個人投資家
紆余曲折を経て高配当銘柄投資にたどり着く
売買は4年に1度ぐらい

    タグ:スタグフレーション

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    「スタグフレーション」―日本資本主義体制の終末 (1978年)
    著者:鎌倉 孝夫
    河出書房新社(1978-08)
    販売元:Amazon.co.jp
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    スタグフレーションとは・・・
    スタグフレーションとは、経済活動の停滞と、物価の持続的な上昇が共存する状況。

    主な原因
    ・民間の仕事より、官の仕事が多く、雇用調整できず
    ・固定相場制のため、貨幣の流通が調整できない
    ・省エネ技術などがないため、資源価格が上昇
    ・日本(現在の新興国に当たる)の急速な経済発展により、需要拡大
    ・保護貿易により、モノの動きの鈍化

    ヒト、モノ、カネの調整が上手くいかず、イビツな状況を引き起こした。

    処方箋
    ・独禁法強化により、競争を促進
    ・民需減小を、軍事需要で補う
    ・海外進出の積極化により、資本も流動的に
    ・交通網の整備
    ・教育強化により、技術力アップ

    感想
    2008年にスタグフレーションの懸念があったけど、その原因は、中国など新興国の急速な経済発展と、中国の固定相場制あたりなのかな?そこら辺の調整が上手くいかなかったのではないかと思う。

    スタグフレーションを起こさないためには、ヒト、モノ、カネの動きが、スムーズに行くように、できるだけ干渉がないほうがいいと感じる。そうすると、日本の、郵政民営化の動きの鈍化や、派遣法の改正は、干渉する方向なので、あまり良くない傾向だと思う。

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    世界スタグフレーション―アメリカ・ECの実態と日本の対応 (有斐閣選書 (415))
    著者:鬼塚 雄丞
    販売元:有斐閣
    (1982-05)
    販売元:Amazon.co.jp
    クチコミを見る

    まずは、概略から。

    第1章 世界スタグフレーション
    スタグフレーションの定義と特徴
    スタグフレーションとは、持続的物価上昇と失業率の増加とが同時に起こることをいう。

    フィリップス曲線に見る特徴
    フィリップス曲線で世界各国のスタグフレーションの状況を分析。
    *フィリップス曲線:経済学においてインフレーションと失業の関係を示したもの

    スタグフレーションの原因
    何らかの理由で、自国の民間部門(企業家計)が将来に対して強気となり、自発的に消費や投資を拡大したときに生じる。

    基軸通貨とインフレの国際的伝播
    固定相場制においては、インフレ国からインフレのない国へ、貨幣が移動して、インフレが調整される。それに対して、変動相場制においては、為替相場の変動により、インフレが調整される。

    持続的物価上昇の本質的原因
    持続的物価上昇の本質的原因は、完全雇用の実現と社会福祉の強化にある。

    アメリカのインフレーション
    アメリカのインフレは、デマンド・プル型インフレに近い。
    *デマンド・プル型インフレ:需要が増加して、価格上昇が起きるインフレ
    *コスト・プッシュ型インフレ:費用が増加して、価格上昇が起きるインフレ 

    第2章 アメリカのスタグフレーション
    アメリカ経済の活力低下
    アメリカ経済の活力低下は、投資活動の質量両方の低下にある。

    2レーガンの「経済再建計画」
    レーガンの「経済再建計画」は、大きな政府から小さな政府への移行がテーマ。

    サプライ・サイド・エコノミックス
    減税の効果は二つの側面があり、

    ・減税→可処分所得の増加→総需要の増加→企業の生産計画の上方修正→インフレ
    ・減税→労働意欲や投資意欲への刺激→供給能力の増加

    レーガンは後者を狙っている。

    投資回復のプログラム
    利子・配当収入やキャピタルゲインの税率を切り下げ、可処分所得を増やし、それを投資や貯蓄に促す。

    活力は回復するか
    この著書は、1982年に書かれたもので、この時点ではレーガンの政策の是非はハテナで、活力は回復するかどうか?でまとめられている。

    第3章 欧州のスタグフレーションの実態と対応
    欧州諸国のスタグフレーションの実態
    欧州のスタフグレーションの実態を、スタグフレーション指数やフィリップ曲線などで分析。

    フランスの事例
    パールプランは、インフレ抑制、対外均衡の回復、経済成長達成、雇用の安定が狙い。

    イギリスの事例
    サッチャーは、慢性的なインフレの抑制、経済に占める公共部門の役割を減少させること、民間企業部門の活性化を図ることが狙い。

    結びに変えて
    フランスの事例とイギリスの事例から、共通項を探り、それとともに問題点を提示している。

    第4章 国際金融取引の活発化と日本の金融市場
    石油危機後の世界の資金循環
    資金の出し手は産油国、取り手は非産油発展途上国。

    オイルマネーの運用状況
    オイルマネーの八割強が先進国に向かい、先進国市場を経由したあと、発展途上国に流れている。

    金融取引の国際化とわが国金融機構の変革
    金融の国際化は、企業に自由な資金調達手段と、金利・為替にもとづく最低取引の機会を与えた。

    第5章 国際資本移動とインフレーション
    国際資本移動の形態
    国際資本移動の形態には二種類あり、短期資本移動と長期資本移動、直接投資と証券投資。
    *直接投資:技術、ノウハウ、ブランドなどの資本移動を示す
    *証券投資:会社の直接支配を示す

    国際資本移動の理論
    短期資本移動の理論は、外国為替市場の理論で説明できるが、長期資本移動の理論は、まだ理論が確立されておらず説明できない。

    国際資本移動とインフレーション
    資本移動が活発な現在の世界経済では、変動為替レート制度による隔離効果は期待できない。また、外国のインフレ政策は、自国からの流出となる場合は、自国のインフレ圧力として、自国への流入となる場合は、自国のデフレ圧力となる。

    第6章 日本のスタグフレーション
    問題の所在
    スタグフレーションという定義が曖昧なため、使う人によって異なる。ひとつは、市場機構や賃金メカニズムなどの制度の硬直化、もうひとつは、インフレと失業率の悪化とが同時に起こること。日本は、前者の定義ではスタグフレーションに陥っていないが、後者の定義ではそれに陥っている。

    説得力に欠けるコスト・プッシュ説
    日本のインフレの要因には、OPECによる石油価格の大幅引き上げ、労働組合の価格支配力の増大による賃金の引き上げなど、諸説あるが、どれも説得力に欠ける。

    マネタリー・アプローチによる分析
    日本において、第一次オイルショックでは、マネー・サプライのコントロールにより、スタグフレーションを軽微に抑え、第二次オイルショックでは、マネー・サプライのコントロールにより、スタグフレーションを皆無に抑えた。

    マネー・サプライ重視への転換
    金融政策は、ほとんどの国で、物価安定策として使われ、指標としては、金利よりマネー・サプライが重視される。

    第7章 日本における経済政策の展開
    はじめに
    世界スタグフレーションと日本経済について。

    初期条件と政策環境
    第一次オイルショックは、ハイパーインフレの過程で起き、第二次オイルショックは、物価安定状況で起きた。 

    政策形成の過程
    第一次オイルショック時の首相は福田赴夫で、第二次オイルショック時の首相は大平正芳。前者は、安定成長、後者は、自然体の政策がテーマ。

    政策目的、手段、効果
    第一次オイルショックは、スタグフレーションからの脱却、第二次オイルショックは、スタグフレーションの回避がテーマ。

    日本経済はスタグフレーション・プルーフか?
    産業構造が若いこと、技術革新の機械にめぐまれたことなど、日本経済は先進国に比べて、スタグフレーションにかかりにくい構造をしていた。

    次に気になった箇所。

    資本主義と社会主義
    第一の要因は、第二次大戦後の資本主義経済においては、完全雇用の達成が政府の義務とされ、この目標のため、失業率がある目標水準がこえると拡大的財政・金融政策が発動される傾向が強かった。
    世界スタグフレーション―アメリカ・ECの実態と日本の対応より

    第二次大戦後を境目に、完全雇用を目指した、ロシアや中国などの社会主義ができ、完全雇用をあきらめ、適正な雇用水準を目指した、イギリスや米国などの資本主義が成立し、二分化したのだなと思った。

    福田親子
    福田首相の場合にあたっては、安定成長が年来の主張である。安定面については、「狂乱物価」「資源有限」の現実に直面して、緊縮政策志向に拍車がかかった。「全治三年」という見通しも、政策持続性を保証するのに役立った。これがインフレ・マインドを鎮圧し、後年の物価安定の土台をきずくことになる。
    世界スタグフレーション―アメリカ・ECの実態と日本の対応より

    親父高評価で、息子涙目。親子ともに、スタグフレーション状況下に就任、運命というものは皮肉なものだね。いやあ、このままだと息子はヤバイだろ(笑)。

    最後に、まとめ。

    まとめ
    スタグフレーションを理解するために、この本を読んだ。この時期は、世界経済がはじめて、スタグフレーションに直面しただけあって、市場機構や賃金メカニズムの制度の硬直化、インフレと失業率の悪化が並行して起こることなどと、人それぞれでその定義が曖昧だったようだ。

    また、この時期に起こったスタグフレーションについて、丁寧に書かれてあり、頭の整理にはなった。でも、フィリップス曲線で、π=f(u)+g(πe)とか、πe=β(π−πe)とかが出てきたのは、まじ冷や汗ものだった。

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    5月の日経平均株価
    高値 14601.27
    安値 13453.35

    5月の日経JASDAQ
    高値 1539.96
    安値 1493.84

    スタグフレーション
    さらなる原油先物の高値更新によるインフレーションと、米国の失業率の悪化による景気後退懸念で、スタグフレーションが意識され、連日の株価下落で、ダウ平均年初来最安値更新($11287.56)。

    また、日本では、ガソリン・電気・航空・食品など、7月から値上げラッシュ。

    金融決算
    JPモルガンなど米国証券大手の第二四半期の決算発表があり、それによりさらなる増資もあると観測され、金融株を中心に売られる。

    円高進行
    米国の景気後退、日本の国債格付けの格上げ、ECBの利上げ観測などにより、円高が進み、輸出関連銘柄が売られる展開になり、日経平均の足を引っ張った。

    7月は・・・
    底は13000、天井は14200を想定。上旬は、2月期の第一四半期の決算が本格化。この決算月は小売企業が多く、円高も進んでいることから、内需関連が注目されそう。また、下旬には、3月期の第一四半期の決算が出始める。そのため、様子見ムードになりそう。

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