
著者:ポール・ポースト
バジリコ(2007-10-30)
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戦争の経済効果について、様々な視点から述べられた本。
防衛支出と経済
米国の軍事支出は、民間の投資に対して、若干しか悪影響を及ぼしていない。
軍の労働
微兵制は、軍人としてでなく、他の職に就いたほうが、国や経済にとって適切な人も、軍人にならなければいけない。したがって、AVF(兵隊募集制度)の方が経済的損失が少なく、同額の場合において軍の効果が高い。
武器の調達
兵器は、米国の独占状態であり、世界最大の輸出国。最大の兵器輸入国はサウジアラビア。
発展途上国の内戦
平和維持活動は世界経済にとって、経済的大きなメリットを享受できるが、米国がそれに参加したとしても、すべての利益を受けられる訳でないので、経済的には非効率。
テロリズム
テロは、短期的には経済に被害を与えるが、長期的にはほとんど何の影響も及ぼさない。あの、大規模な9・11のテロでさえそう。
大量破壊兵器
核兵器から原理力発電へなど、軍事技術が民生化されることが多かった。しかし最近は、民間技術が軍事技術に転用されることも多くなってきた。
事業・プロジェクトとしての戦争
領土奪取、賠償金収入など、朝鮮戦争あたりまでは、戦争の損得勘定が分かりやすかった。しかし、それ以降は、テロとの戦いなど、大義名分ばかりが目立ち、経済的効用はあまりなく、兵器の在庫処理のための戦争と言われている。
感想
米国の軍事産業は、日本で言うところの箱もの公共事業にあたるのかな?不景気になったら、戦争やって需要拡大するぞ!みたいな。この本を読んで、そんな印象を受けた。
しかし、民間の投資に悪影響が出ていないかどうか考えるあたり、公共部門でもキチンと損得を考え、官と民のバランスをとっているのは、さすが米国だよね。
あと、新興国の中国やインドも軍事に力を入れている国。ここらへんが台頭してきているので、これから軍事のパワーバランスがどう変わってくるか?気になるところ。
