有機ELのすべて有機ELのすべて
著者:城戸 淳二
販売元:日本実業出版社
発売日:2003-02
おすすめ度:4.0
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最近、『有機ELのすべて』を読んだ。なぜ、読んだかというと東北パイオニア(6827)に投資しようかどうか考えていて、この会社は有機ELの事業を強化しており、その将来性についてどんなもんかと思ったからだ。

とりあえあず、有機ELの概要についてちょっとまとめてみた。

重要特許
コダック社(EK)(低分子系)、CDT社(π共役高分子系=ポリマー系)

日本の主な参入企業
電気系メーカー:パイオニア(6773)、NEC(6701)、TDK(6762)、スタンレー(6923)、三洋電機(6764)、東芝(6502)
化学メーカー:三菱化学(三菱ケミカルホールディングス(4188)グループとして事業展開)、出光興産(未上場)

用途
ディスプレイ、照明、電子ペーパー

長所
液晶や蛍光灯には水銀が使用されていて、環境への配慮から考えても、クリーンな有機ELが有望かと。

短所
寿命が短いこと。

あと、有機ELとは関係ないが、国ごとの経営のスタイルについて述べていたところが興味深かった。

韓国
韓国企業の特徴は、始動は非常に遅いけれども、いったん「行く」と決めると、徹底的に進むというスタイル。

台湾
モトになる技術こそ存在しないため、最初こそ先行されるものの、その産業が成熟しはじめると、日本の歩留りの向上した装置を買い、材料も日本から買い、そして量産をやってしまう−そういう方式だ。

アメリカ
アメリカの特徴はベンチャーが多い点だ。彼らは有機ELに限らず、アイディアのある人間がベンチャーを立ち上げて特許を取得し、それを日本のメーカーに売るというスタイルが基本姿勢であって、量産する気はまったくない。いい特許をとって、それでビジネスをするというのが基本戦略なのだ。

日本
日本の特徴は、A社がXという分野に入っていくと、他の会社も一斉にX市場に入っていくし、B社がY市場に参入すれば他の会社も一斉にY市場に入っていく。

もし、有機ELの市場が有望だとしても、日本の護送船団方式的な経営を改めないと、アジア特に韓国にまたやり込められてしまう感じがした。

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